女の子とちょっとした会話ができるポジション、ポテト。
マックでアルバイトをしていた1990年ごろ。
クルーの花形ポジションと言えば「グリル&バンマン」でしたが、
ピーク時にはかなりの上級者がポジショニングされるのが「ポテト」でした。
ポテトは、お客様からよく見えるポジション。
アピアランス(身だしなみ)もきっちりしなければいけない。
当然ながら、ポテトは最も多く販売されるメニューですから、
ストックを切らすことなく、いつも同じ塩加減で、
揚げたてのポテトを提供する、高度な技術が必要なわけです。
ポテトは冷凍状態で保管されているので、バスケットに入れて油で揚げます。
今では自動で解凍するエクイップメント(道具や機材)があるようですが、
30年前はそのようなものはなく、解凍は手作業で行なっていました。
冷凍状態の1カートン(箱)には、最大で4バスケット分が入っています。
「4バスケット解凍(4等分)」や「8バスケット解凍(8等分)」というように、
解凍量を調整するわけです。
揚げ上がってからお客様に提供できる時間(ホールディングタイム)は7分間。
多く作りすぎず、ストックを切らさず、
というのがポテトポジションの難しい所ですね。
そして味付けの塩。
これも、現在のように一定量の塩が出るアキューソルトディスペンサーではなく、
昔は2㎜ほどの穴がたくさん開いているだけの円柱の筒を使い、
ポテトマンの技で塩を振っていました。
「マクドナルドのMマークを描くように」と教わりますが、
ポテトの量によって塩の量を加減しないと、味の濃淡が出てしまいますから。
そして、どこの店舗もそうですが、
ポテトエリアはカウンターと厨房の間に位置します。
カウンターパーソンから「ツー ミディアム(M)出まーす」とか言われると、
「ハイ、アップね」と、ちょっとカッコつけ気味で返すのが、
ポテトマンの粋なところ。
ピークの合間に、カウンターパーソンの女の子と軽るーく会話ができるのも、
ポテトマンのメリットなんですよね。
ストックを切らさずに回している姿は、なんだかカッコよく見えたものです。
逆にストックを切らした日にゃ最悪。
「ツー ミディアム 出まーす」と言われて
「ウエイトしてください・・・」と肩身の狭い思い。
カウンターパーソンの心の中では「ポテト切らすなや」と
毒つかれることもしばしば。
厨房で黙々とバーガー類を作っている連中は、
楽しそうに女の子と話すポテトマンを見て、
随分うらやましく思ったものでした。